本ページはこんな方におすすめ
- 一週間にどれくらい筋トレするのがいいかわからない
- 毎日筋トレしたい
- 筋トレのし過ぎはかえって身体に悪いと思う
- いい体になりたいが筋トレは好きじゃない
- 筋トレのコスパを最大化したい
筋トレはどの程度継続することで現状維持できるのか、あるいは筋肉量を増やしてカッコいい身体(ボディ)を手に入れることができるのか、誰もが一度は考えることです。
本ページでは、当サイトの管理人と十数名の男女のテスター(18~50代)約四年分の経験則から、当サイトなりに導き出した結論をまとめておきます。
なお、テスターを含めほぼ全員が現役のアスリートではなく、体形維持、シェイプアップを目指す人のデータになります(テスターはせいぜい趣味でテニスをたしなむ程度の主婦やオフィスワーカー)。
そのため、競技で好成績を追求するためのトレーニングとは性質が違いますので注意してください。
筋トレは頻繁に行う方が筋肥大効果が高いのかどうか科学する
経験則:筋トレ頻度が高いほど筋肥大効果は高い
科学:筋トレ頻度自体は筋肥大効果と直接関係しない
上の二つはどちらも事実です。科学論文では「筋トレ頻度自体は筋肥大効果と直接関係しない」というのがここ十年ばかり常識になっています。この理論だけまともに受け入れるとします。この場合、時間のない人は日曜日にまとめて筋トレして、残りの曜日は何もしなくても、筋肥大効果は同じということになります。
ところが、実際はそうなりません。理論は先ほどの通りであったとして、一日にトレーニングを詰め込むのと、複数日に分けてトレーニングする場合を比較すると、前者のパフォーマンス(筋肥大効果)が優れないことがわかりました。
参考文献:Grgic, Jozo et al. “Effect of Resistance Training Frequency on Gains in Muscular Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis.”
参考文献:Ralston, Grant W et al. “Weekly Training Frequency Effects on Strength Gain: A Meta-Analysis.”
上手くいかない原因は何か?
上に挙げた二つの論文は、最近、いたるところで引かれる(参考にされる)有名論文となっています。しかし、メタ分析や頻度、結論の部分に目を奪われると、「頻度は重要なファクターでない、しっかりトレーニングさえしていれば」という結論だけを脳に刷り込んでしまいがちです。
そうではなく、もう少し実践的に解釈する必要があります。論文などアカデミックの場では前提条件が重要で、上の論文では「ボリュームが等しければ、頻度による筋肥大効果には差がない」と結論付けているだけです。
「ボリュームが等しければ」というのはとても重要な条件で、ボリュームというのは具体的なトレーニング量のことです。要するに、重さと運動の回数の積を一定期間で合計したものです。
もう少し具体的に言えば、重量×回数×セット数を一週間で合計したものになります。
例えば、一週間でバーベル100kgを100回挙げる場合を考えます。これを一週間の総ボリュームとします。
理論では、1週間で100kgの運動を合計100回行えば、頻度にかかわらずボリューム相応の筋肥大が期待できることになります。
もう少し、具体的に描いてみます。一週間のうち、レーニングを1日だけ行う場合は、1日のうちに100回挙げる(10回10セット)必要があります。2日しかトレーニングしないなら、50回ずつ火曜と木曜に挙げる(10回5セットを2日行う)、3日なら33回ほど火木土に挙げる(10回3~4セットを3日行う)ことになります。これらのトレーニング量を正確に行えば、どのパターンで行っても結果は同じだと論文は結論付けています。
現実にはどう実践されるかシミュレーションしてみよう
そこで、現実問題です。
1日のうちにトレーニーの限界の重さ、100kgを10回10セット行うようなトレーニングが現実的なのか考えてみましょう。ここではあくまで、100kgを持ち上げる動作が、10回はできるが11回目になるとできないというギリギリの重量だという前提です(10RM が 100kg であるという設定)。
1セットは間違いなくできます。2セット目もできるでしょう。3セット目になるとほぼフルパワーで何とかこなせるレベルのはずです。
そうなると、4セット目は必然的に重量を下げるか、回数を減らすかしないと身体が持ちません。もちろん、休憩時間もそれなりに必要です。結果的に、1日のうちに100kgを10回10セットというのは中途半端にこなすか、無理してこなすかということになりがちです。休憩時間を含めても、数時間で何とかなるものではなさそうです。
上の理論通りに話を進めるなら、キツイキツイ限界の重さを、1日で1セット、2セット目、・・・、10セット目まで同じ状態でこなさなければ、別日でこなすトレーニングと同じ筋肥大効果にならないわけです。必然的に1日でこなすより、日を分けて筋肉の回復を待って、トレーニングする方がパフォーマンスとして良くなることは、感覚的にも分かりますね。
なお、重量の100kgという値は各自の最大重量に置き換えて考えてみてください。
重量を下げて、回数を増やしたらどうか
では、ボリュームが等しければいいのだから、10kgを1000回挙げる場合でも筋肥大効果は同じになるはずです。10kgなので100回挙げを1セットにすれば、これを1週間で10セットこなせは先ほどと等しいボリュームになります。
例:10kg×100回×3セット+10kg×100回×3セット+10kgx100回×4セット = 100kg×10回×10セット
多くの人は、1週間目ぐらいはできると思いますが、2週目には脳がだれてきて退屈してきます。もちろん、交通事故などからのリハビリの場合はこの種のトレーニング方法が有効な場合もあります。
それでも、普通は気合が入らず、ダラダラと時間つぶしになりがちです。結果的に、重量を下げて(軽すぎる重量にして)回数を多くするという方法は、多くの人には、あまり現実的ではありません。
理論としては正しくても、実行の際に現実的な問題にぶち当たるわけです。
筋肥大を狙うには、頻度は必然的に要素だと考えよう
経験則:筋トレは複数日に分けて行うほど筋肥大効果は高い
上で示してきた、頻度は筋合成のパフォーマンスと直接的な関係はないという理論が受け入れられた今でも、現実には筋トレの際は頻度を意識せざるを得ないということです。
なお、ここでの頻度は1日にすべてを詰め込む筋トレより、複数日で分けて行う筋トレのことを意味しています。複数日で分ける、すなわち頻度を上げた方が、筋肥大を狙いやすいという現実があります。
改めて筋トレ頻度を見直してみる
上で紹介した理論では、筋トレを毎日行っても、1日にまとめて行っても、総ボリュームが同じであれば効果は変わらないということになっています。しかし、実際の筋トレーニーにとっては、筋トレ頻度をコントロールしないと筋合成のパフォーマンスが劣ってしまうという事実があります。
これに関係する事項として、筋トレは休憩がとても大切で、休憩は筋トレの重要な一部であるということを、当サイトは積極的に述べてきましたが、このことは私個人だけでなく、テスターもほぼ同意してくれています。
頻度が少ないとなぜ良い結果にならないか
ここでいう頻度は、毎日トレーニングするか、1日おきにトレーニングするかとかという意味です。頻度が高ければ、筋トレ効果(筋肥大効果)が高いのは、経験上納得できる人は多いのではないでしょうか。
頻度を高くしすぎるとオーバートレーニングになったり、頻度を低くすると物足りなさを感じそうです。
ここで、素直に上の文を読んで頷いてしまった人は、前提知識をすっ飛ばしています。頻度を考える前に、まず1週間の総ボリュームが同じで比較する必要があることをもう一度思い出してみてください。
一週間の総ボリュームが同じ筋トレを行うとした場合、週1回のトレーニングだと1日で一気にそのボリュームをこなす必要があります。週2回ならそれを二日に分けて行います。週3回なら総ボリュームを三日に分けて行うことになります。そこで、トレーニング後の筋肉の回復期間を考えてみます。
1週間の総ボリュームが本人の限界よりはるかに低い場合、筋肥大もさして期待できず、回復期間はあまり問題になりません。筋肥大効果を狙うには自分が扱える最大重量のおおよそ70~80%あたりで、反復挙動するのが良いとされています。
これに従う場合、週一回の筋トレで死1週間の総ボリュームを賄おうとすると、1セット、2セット、3セットと1日のうちにセットを重ねていくと、次のセットまでに回復が間に合わなくなります。
つまり、数セットの筋トレ動作を終わった後に、筋肉が疲れてしまい、回復まで1日程度は欲しいという状態になっていても、一週間の総ボリュームを一日でこなすためには、まださらに筋トレを行わなければなりません。
当然、筋肉疲労状態なので、普段扱える最大重量よりずっと抑えた重さを扱うことになります。
1週間にベンチプレスを10セット行うとしたら、1日にまとめて筋トレする場合、つまり1日に10セットを終え切る場合は、1セット目と10セット目のパフォーマンスが同じということには普通はならないはずです。よほど重量を抑えて、回数を増やすなどの細工をしない限り、10セット目は1セット目よりずっとパフォーマンスを下げて終えることになります。
つまり、先細りしてしまうわけですね。
では、週3回(3日で1日休憩をはさむ場合)に分けて筋トレする場合、1日目の1セット目と2日目の1セット目、3日目の1セットのパフォーマンスはさほど下がらないと考えてよいでしょう。
結果として、週1回のトレーニングと、週3回のトレーニングでは、現実問題として各セットの充実度が違うことになり、週2~3回で行う方がしっかりとした負荷を与えることができて、総ボリュームをしっかりこなすことができるということになります。
筋トレの挙動回数については、1週間でトータル100~200回が、筋肥大に最も効率が良いという報告があります。これは感覚的にも、そのような感じを受けます。テスターに100回以下の回数で試していただいた場合も、アンケート結果においても、この報告の通りでした。
先ほどの理論によると、毎日2REMを5日間行っても、筋肥大効果は変わらないということではありますが、重量が身体へダメージを与えること、その回復を考慮すれば、ある程度の回数をこなし、身体へのダメージが蓄積しないように筋トレするのが上手な行い方だと言えます。
報告を読み解けば、1週間に100回ぐらいは反復できる程度の重量とセット数を各自ギリギリのラインで設定することで最大効果が狙えるという意味です。
そ
1 回持ち上げることが限界の重量を 1RM、10回持ち上げることが限界の重量を 10RM と表せば、1週間の総反復回数は 1RM×100 や 10RM×100 になるように部位ごとにメニューを組みます。RM 数が小さくなればなるほど重い重量を扱うことになり、高確率でけがをします。
そのため、シェイプアップ狙いの場合は6~12RM 辺りで調整するのが無難です。女性の場合は、もう少し数値を上げて(つまり RM 値を下げて)調整するのも良いと思います。男子の場合は、ケガするかしないかのギリギリ(低 RM 値)を狙うのもいいですが、10回程度(10RM)が万人に進められる RM です。
理由は、集中しすぎていても数えやすいこととフィニッシュを意識しやすいことです。
現実的な筋トレの総ボリュームを決める方法
筋トレに1日消費し、翌日は1日中寝て体力回復を待つような生活は、収入が約束されたプロアスリートとその他少数の恵まれた人ぐらいしかできないと思います。
そのため、現実的に自分が実現できる総ボリュームを掴んでしまうのが、手っ取り早く自分に必要な頻度が見つかります。
ここでは、経験則からこの方法で、まずいい線になる頻度の導き方を紹介します。
以下は、各部位の筋トレの目安です。
- 軽すぎない重量で10回程度の回数をこなすと効果的
- 1週間で合計150(120~210)回の動作を行うようにする
- 1週間の合計セット数は5セットから23セットまでで調整
- トレーニングと休息日を交互に入れると効果的
上の回数などは、論文等を探せばよく似た数字になっていると思いますが、経験則でおおよそ上の数値で納めると、老若男女にかかわらず効果的です。ただし、ケガや持病のある方は専門家の指導を仰いでください。
デッドリフト等を高負荷で行う場合は、重量を扱うと回復までに数日以上必要ですので、セット数も動作も上の経験則にならう必要はありません。あくまで、部位ごとの目安にしてください。
ただし、ベンチプレスで意識的に特定の筋肉に集中して負荷を与えるような動作を行い、その部位だけを肥大させ、理論通りということを証明しても、それが好ましいベンチプレスなのかという点は、論議のあるところです。
筋トレの頻度についてのまとめ
筋トレの頻度に関しては、一定期間の運動ボリュームが同じであれば、頻度は筋肥大に直接影響しないというのが、最新の学説です。
しかし、頻度を無視してトレーニングメニューを組むのは、現実問題としてパフォーマンスを下げてしまう結果になりがちです。そのため、頻度という概念は、はずせない現実があります。
まとめ
- 筋トレの総ボリュームを一定期間にこなすことが大切
- 頻繁に筋トレしなくても、筋肥大効果は狙える
- 頻度は自分の生活リズムで設定してよい
- 週2回以上の筋トレが、現実的に筋肥大効果が狙える
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