スクワットのちょっとした疑問とコツ
スクワットについて、誤解しがちな点についてもう少し見ておきましょう。
ハーフスクワットでスタイルアップしたいのだけど?
パラレルスクワットの深さまでしゃがむのにまだ筋力が足りない、あるいはお尻より太もも前面をボリュームアップしたい男性など、様々な理由でハーフスクワットを行い脚部を強化(あるいはスタイルアップ)したいという方もいるはずです。
ハーフスクワットは大腿四頭筋(太ももの表)に効くと先ほど説明しましたが、パラレルやフルスクワットでも同様に大腿四頭筋にも効きます。しかし、ハーフとパラレルやフルとでは筋肉の仕上がり具合が変わってきます。ハーフスクワットを行うと、股関節に近い部分の大腿四頭筋の発達を促進し筋肥大させます。一方、パラレルやフルは太ももの表側を平均的にまんべんなく筋肥大させます。
上のイメージ図(右)で、股関節まわりの前面が肥大しているのがハーフスクワットの効果です。ハーフの場合はお尻部分にはあまり負荷がかかりませんので、フルスクワットと比較して肥大しません。このイメージ図を頭に入れておけば、他の種目と合わせてトレーニングすることによって足らない部分を補うこと(例えば、お尻(大臀筋)まわりはヒップリフトで補うなと)が可能です。お尻まわりに効かせたい方は、フルスクワットを積極的に行ってみてください。
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もう少し科学的にフルスクワットの方がバランスの良い美しいお尻になる理由を検討する
スクワットに限ったことではありませんが、筋トレの動作で可動域が広いほど、美的に均整の取れた筋肉がつくということが、経験則から言われてきました(1990年以降)。ハーフスクワットでもフルスクワットでも、筋力の増減は大差ないのですが、獲得できる筋肉の美しさに差がつくのは、どう説明するべきかという難問があったのですが、以下の論文を参考にすると次のように説明されます。
「運動始めに、筋肉が伸ばす(びる)ことで、より筋活動が高められる。可動域を可能なだけ広くとれば、より多くの筋肉が刺激され、それぞれにバランスよく筋タンパク合成が促される」みたいな感じです。
さらに「一部分の可動域を使うだけでは2,500前後の負荷量だが、全部の可動域にまで広げることにより、さらに倍以上(つまり2,500+4,000=6,500)の負荷量が筋肉に加わることになる」とのことで、より広範囲の筋繊維を発達させることができるからです。
これが、美しく筋肉を発達させることの説明として、科学的かどうかは自信はないのですが、現実問題として、フルスクワットで筋トレした方が、お尻の形は確実にハーフスクワット組よりも美しくなります。
男性はともかく、女性はフルスクワットで行うことを強くお勧めします。これは年齢に関係ありません。重量を下げてでも、スクワットは可動域を優先してください。場合によっては自重だけで、膝にサポーターをつけて行っても大丈夫です。
参考文献:Baroni, Bruno M et al. “Full Range of Motion Induces Greater Muscle Damage Than Partial Range of Motion in Elbow Flexion Exercise With Free Weights.”
参考文献:Pinto, Ronei S et al. “Effect of range of motion on muscle strength and thickness.”
お尻まわりに効かせるためのスクワットは?
パラレル、フル、フルボトムのスクワットを行えば、ハムストリングスと大臀筋まわりの筋肉を積極的に使います。この中から、身体の柔軟性に合わせてキツイと感じるものを選んでください。心持ち、パラレルより深くしゃがんで切り返すことを心がければ、お尻まわりに効くはずです。大臀筋の活動レベルに注目すると、ハーフスクワットに比べてフルスクワットは2倍以上の活動が見られたという報告もあります。
本ページでは、しゃがむ角度に焦点を当てていますが、お尻まわりを効果的に狙うなら、ローバースクワットでしっかりしゃがめるようにすることもポイントの一つです。
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そうすれば、身体は左右のバランスをとるために中臀筋が積極的に関与してくれます。
初心者が極めるバーベルスクワット
まとめ
- スクワットで深くしゃがむほど、大臀筋が強く活動する
- 高負荷でのハーフスクワット(とクォータースクワット)は膝関節故障のリスクが高い
- しゃがみの深さで大腿四頭筋まわりの仕上がりが変わる
- フルボトムまで無理してしゃがむ必要はない