脚部に負荷を感じよう
床引きデッドリフトは引くのではなく、床を押す種目である
デッドリフトにおいて、時折バーベルを引くというような表現がされますが、これは誤解を生みます。特に初心者が文字通りに受け取ってしまうと、はじめから力のかけ方を間違って行ってしまいかねません。床引きデッドリフトは引くのではなく、床を押す種目だと認識しておきましょう。バーベルを引くのではなく、床を脚部で押し込みます。トップポジションに置いては、多少バーベルを引くという動作が含まれることもありますが、主役はボトムでしっかり押すという動作です。バーベルを両手にぶら下げている点など細かいところが違ってきますが、レッグプレスの動作に近いものがあります。イメージとしては、脚で床を押し込んでバーベルと床を引き離すという動作になります。この意識を持っているだけで、背中でバーベルを引っ張って何とかしようなどという動作はなくなります。
最下部(ボトムポジション)での確認事項
背中はボトムでは、本来、ニュートラルとすべきなのでしょうが、気持ち骨盤前傾(反り腰)ぎみで行うとちょうどよく決まります。一般的には背中を少し反らせすぎかなという感じになります。ただし、背中が柔らかい方は本当に反らせすぎてしまうと、これまた事故に繋がりますので注意してください(鏡などで確認してください)。柔らかい人は、トレーニングベルトを着用しましょう。
でも膝が曲がってしまう場合は
膝をまっすぐにしようとするのだけれど、はじめの膝の曲がりが深く、バーと膝がまともにぶつかってしまう場合は、次のことに注意してみます。
チェック
- お尻を後ろに突き出す姿勢がとれていない
- バーベルのサイズと重量が適切でない
お尻を後ろに突き出す姿勢がとれていない
ハムストリングスと大臀筋狙いのデッドリフトやスクワットをする際は、お尻を後ろにつきだして、ヒップドライブを利用するのが大切です。この突き出しが甘いと、背中に負荷が流れます。
バーベルのサイズと重量が適切でない
デッドリフトに使用しているバーベルの大きさ(直径)が問題かもしれません。一般的には、バーベルの片方のウエイトが20kg以上であれば十分な直径(45cm)がありますが、10kgや5kgだとしゃがみ込む深さが出てしまい、それにつれて膝も曲がりすぎます。そのため、膝のコントロールがうまくできずにバーが前に流れてしまっている可能性があります。
対策としては、ウエイトリフティング用のウエイト(標準プレート)を利用する、もしくはバーベルの下に厚地のマットなどを置き、5センチ以上高さをかさ上げする方法があります。
また、ウエイトが重すぎる場合も前傾姿勢を保持できない原因になりますので、オルタネイトグリップで握るか、軽めのウエイトで理想的な姿勢がとれるかどうかを確認してみましょう。
さらにハムストリングスへの負荷を続けるためには
デッドリフトで上体を完全に起こさず、前傾姿勢を保持しながらそのままバーベルを下げる動作を継続します。これにより、ハムストリングスへの負荷は残したまま継続できます。
コツは、スピードをつけずにゆっくり気味に行うことで、反動を殺してしまうことです。持ち上げスピードが遅すぎるのも問題ですが、速すぎて反動のコントロールができないことも問題です。絶妙な持ち挙げスピードを見つけてください。
逆に背中を作るために、やるべきデッドリフト
逆に背中の筋肉の厚みを増したい方は、床引きではなくトップサイド・デッドリフトを行えばよいことになります。床引きの場合は、前傾姿勢をとらずに持ち上げ作業を、ハムストリングス、大臀筋、脊柱起立筋とそのまわりを動員して行うようにします。
トップサイド・デッドリフトのメリット
メリットは脚部の負担を減らせることです。脚部のシェイプアップ目的の方は意味がないように思えますが、背中をメインに鍛えたい場合は逆にメリットになります。
さらに、脚部はスクワットで重点的に刺激し、背中まわりの上半身はデッドリフトを利用するようなトレーニングを好む方にとっては、床引きデッドリフトよりも適しています。
さらに、背中部分の筋肉を動員するため、使用できる重量が増加するのもメリットといえそうです。
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