バーベル・スクワット

10回3セットから始めようのウソ・ホント

2020年11月16日

トレーニング量を考える

スクワット

筋トレは、ある種の「脳トレ」的な要素が強くあるようで、ウエイトを動かした全体の仕事量が同じだからといって、トレーニング効果も同じように現れるというものではありません。
いかに「脳を刺激」したかも、筋肉の成長発達に影響します。

ここで、トレーニング量(Resistance Training Volume)という考え方を利用します。

$$Resistance Training Volume=\sum (「扱うウエイト」\times「レップ数」)$$

トレーニング量は「扱うウエイト」$\times$「レップ数」を1週間分合計してで計算します。動かす距離や、重力方向のベクトルなどを考えたくなりそうですが、ややこしくなるだけですのでやめましょう。
1週間でなくても、10日間でもいいのですが、ある一定期間に行った「扱うウエイト」と「回数(レップ数)」の積を合計したものです。

例:80kg 10レップ 3セットなら、$(80kg \times 10)+(80kg \times 10)+(80kg \times 10)=2,400kg $の量ということです。

セットの部分は「$\times 3$」として計算するより、愚直に足し算した方が感覚的につかめると思います。

トレーニング量からみて、10回3セットの根拠はあるか?

セット数を増やしてトレーニング量を稼ぐのは良いか?

「扱うウエイト」と「レップ数」の積を一定期間合計するわけですから、そのセット数を増やすのがトレーニング量稼ぎに良いように思えます。

しかし、1週間の最大セット数は15~16セット(各部位)に抑えるのが(研究結果として)良いとされています。
理由は簡単で、筋肉は使ったら休ませて回復させなくてはいけないからです。回復させずに筋肉をひたすら酷使しているだけの筋トレは、筋肉を破壊し続けることだけを行っていることになります。回復せずに破壊するだけですから、筋肥大は期待できません。

1週間に20セットを超えてトレーニングしてしまっても、おそらくすぐに身体が壊れることはないと思うのですが、継続すると回復が追い付かなくなる可能性大です。結果的に、気力的にも限界がやってきます。
逆に、セット数を多くこなしすぎた週があれば、大目に回復とるなどすれば、筋肥大を期待できます。けがをしたら治るまで休むという発想と同じです。ただ、長く休みすぎると復帰がおっくうになるなど、今度は精神的な要因でトレーニングを継続しなくなったりするリスクもあります。

これらを考慮して、1週間で9~10セットあたりを達成し続けるのが、筋肥大しつつ回復期間も適切にバランスが良いということになります。

トレーニングはやればやるほど効果が出るわけではないのが、単純ではなくて、奥深く面白いところです。

ダンベル

筋肥大に効果的なレップ数とは?

筋肥大に効果的なレップ数(繰り返し回数)は、トレーニング量を稼ぎやすい繰り返し回数です。

Repとは?

Repetition(レペティション)を略したもので、反復・繰り返しの意味です。例えば、10 Rep(s) と表現すれば、筋トレでは10回同じ運動を繰り返すことです。

これまでで、部位の1週間の合計を9~10セット達成に設定したとして、1日3セットを行うケースを考えます。

なぜ10回?トレーニング量が同じなら高レップでもいいのか?

人によっては、6回の方が調子が出る、集中できる、あるいは12回の方が達成感があるかもしれません。6回や12回でなく、10回を基準に語られるのは、いわばキリが良く数えやすいからです。

今セットはまだ頑張れるから、あと1回プラスなどするときも、10回を基準にしていると考えやすいというのも理由です。

人によりけりで、6~12回の範囲であれば、好きな回数でメニューを組んで問題はありません。
ただし、6回以下の(以下の高重量低Rep)で調整すると、関節にも負荷がかかるため調子の悪い時はケガをするリスクがあります。
また、12回以上(高Rep)で調整すると、統計上、筋肥大狙いのシェイプアップ目的では効率が少し悪くなります。個人差があるので、必ずしも10回にこだわる必要はありませんが、万人に向く回数だととうことでよく使われます。

一方、20回も30回もできるような軽いウエイトでトレーニングしてしまうと、負荷が低すぎでトータルのトレーニング量を数える以前に、有酸素運動の効果の方も出てきてしまいます。特に1セット完了までに1分以上必要になるウエイトトレーニングの場合は注意です。

理想的には、最大限(近く)のパワーを出さないと持ち上げることができないウエイトを基準にするべきで、反復回数としては10回あたりで手うちするのが妥当です。
ただし、ケガや故障中で、何かしないと体がなまるという場合は、軽すぎるウエイトで回数を増やして行うのは大ありで、誰もが一度ぐらいは経験することですね。軽すぎるウエイトでも、ケガから回復中の人にとっては、脳へのいい刺激になりますので、わきまえていれば実行してみてください。

筋力アップには高重量で低レップ?!

筋トレ一般として、高重量低回数で行えば、神経系への刺激が増し、脳も緊張し、筋力向上が狙えます。

原則は10回3セット、つまり10Repで行うのが無難ですが、シェイプアップだけでなく、特に男性は筋力増強も狙いたい人が多いと思います。
その場合は、10Repsの時より、扱う重量を増やして3~5Repsあたりに調整して行えば、筋力増強にも効果的です。

ただし、高重量低回数のデメリットは、回復インターバル消化に時間がかかることです。
回数が少ないから、時間短縮になるというわけではなく、逆に回復時間が倍以上(4倍説もあり)必要になり、おまけにポッター(バーベル等を両脇で支えて自己しないようにサポートしてくれる人)も必要になりますので、お手軽というわけにはいきません。

さらに、下手をすれば関節への負荷が事故につながりませんので、気を全く抜けないトレーニングになります。この緊張感が、筋力増強につながる脳への刺激になると考えられています。
回数少なくして早く筋トレを終えたい」と誤解してしまいそうですが、スタイルアップ目的の方は、わざわざ低回数にセットする必要はありません

筋肉をつける、筋肥大させるという目的においては、高重量低回数である必要はないので、自分に合った重さと回数を見つけるようにしましょう。

それでもレップ数を稼ぎたいなら

筋トレで、無言でしっかりウエイトを持ち上げる状況を考えてみます。この場合、かなりキツイと感じる重さが、自分の限界パワーで持ち上げられる重さの約65%に相当するそうです。

9Reps程度の負荷を設定して、10回の反復回数で考えてみると、始めの1~5回あたりは「かなりキツイと感じる重さ」でも黙々とこなせます。
半分の5回を超えたころからきつく感じてくると思うので、声(息)を出しながら踏ん張りながら力を入れるようにします。7回目以降は火事場のバカヂカラを出さないと持ち上げられないというのであれば、野獣のおたけびをとどろかせながらキバってみましょう。
声を出せば、大多数の人は、9回目でつぶれる程度の重量設定だったとしても、10回目もこなせてしまうと思います。

邪道とまでは言いませんが、「野獣のようなおたけび」とともにトレーニングを行えば、レップ数は伸び、トータルでのトレーニング量を稼ぐことができます。ただし、人の迷惑を考えて行ってください。自分の筋肉も大切ですが、他人が楽しんでいる快適な環境や雰囲気を壊してまでやるべきことではありません。

なぜ3セット?

結論としては、標準的に1週間で9~10セット完了を目標にする場合、3セットを1週間で3日こなせば合計9セットが完了します。これは、週に2~3日トレーニングジムに通えば達成できる数字です。

数年前の論文で、筋肥大は1週間単位のトレーニング量で計算しても良いというような発表がありました。
例えば、1日に9セットを行わなくても、1週間で9セット行えていれば、効果的に筋肥大するという内容です。
今日は月曜日に2セット(50kgと60kg)、水曜日に4セット(40kg、50kg、50kgと60kg)、金曜日に3セット(55kg、60kgと70kg)行った場合と、月・水・金曜日に3セットずつ行った場合では、筋肥大に差はないということです。

1週間のトレーニング量は

\begin{array}{rr}
&(50+60)\\
&(50+60+70)\\
+&(40+50+50+60)\\
\hline
&495\\
\end{array}

つまり、$495x10=4950kg$ のトレーニング量になります。
3日(各10回として)で平均すると

$$495kg=(55+55+55)+(55+55+55)+(55+55+55)$$

つまり1セットあたり $55kg \times 10回$ のウエイトを扱ったことになります。

では、1週間に一回だけ、金曜日に9セット行った場合でも上の例と同じトレーニング量なので、筋肥大に差はないのかという点は気になります。
理論の上では差はありませんが、現実に1日に9セットを行うトレーニングはかなり無茶です。そもそも、セット間のインターバールが、セットの後半では長くなるはずです。

上の例だと、70kg あたりにレップ数の限界があるとして、55kg のウエイトで1日だけ10回9セットを行えば、1週間のトレーニング量としてはほぼ同じです。

そんなことをするくらいなら、1日に詰め込むセット数を減らして、重い重量で行う方が、1週間当たりトレーニング量を稼ぐことができます。

1日のセット数を増やすと、相対的に軽いウエイトを扱うことになり、セット数を減らすと関節に負担がかかる重い重量を扱う必要が出てきます。この両方の事情に妥協した、かつ妥当なセット数を見つける必要があり、多くの人には1日3セット、1週間で9~10セットが都合良くあてはまるということです。

極端な例だと、毎日筋トレを行い、1日1~2セットで終わらせることも理屈の上では可能です。しかし、著名論文でも、トレーニング量不足で筋肥大パフォーマンスはイマイチとされています。脳がうまく疲労を認識しないのでパフォーマンスが下がるということかもしれません。
そのため、1セットではなく2セット以上(3セット)で調整するのが好まれます。

また、やればやるほど筋肥大が期待できるかといえば、そうとは言えないのが実情です。それは、各自が補給できる栄養分や、血管の強さなどが影響して、オーバーワーク状態では筋肉をうまく修復できないからだと考えられています。

小まとめ

  • 高重量低回数では、神経系を刺激し、筋力アップと筋肥大が狙える。しかし、けがのリスクも大きい
  • 低重量高回数では、神経系への負担は減るが、筋肥大はできる。メリットとしてはけがのリスクは激減する

コツとしては、どちらかでやりきること。両方のいいところどりをしようとして、ごちゃまぜにプログラムを組むより、自分の何を成長させたいのか(ひたすらスタイルアップ狙いなど)にポイントを絞る方が、結果的に継続しやすい

次のページでは「筋トレの3セット目」の本質を考えてみます。

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